最も気をつけなければならないのは、水槽設置初期のリスクを、以下に低減させていくか?ということです。
設置初期のリスクを乗り越えれば、比較的にリスクは遠ざかっていきます。
まず濾過システムに関してですが、設置初期の底面フィルターは必須です。
亜硝酸などで劣化した水は水槽内の底面に溜まりがちですので、
底面全体から水を循環させることができる底面フィルターは、水槽設置初期の危険を遠ざけます。
ただし、もし本格的な水草水槽内で飼育するのであれば、
底面フィルターは、いずれ根で目詰まりを起こして機能しなくなる可能性も出てきます。
が、、、それでも水槽設置後の初期には、底面フィルターがあったほうが水質は安定します。
根で底面フィルターが目詰まりして使い物にならなくなったら、そのままにして、
徐々に外部フィルターに頼っていくという考え方で望めば、リスクを低減させてくれます。
水草が十分に成長している環境になってくれば、外部フィルター内のバクテリアも活性化してくれているはずです。
外部フィルターのストレージ(水の吸い込み部分)から、
効果的に底面全体の水が吸い込まれるように、水槽内のレイアウトは十分に気を配ってください。
水の何処かが滞留してしまうようなレイアウトでは、亜硝酸が溜まってしまう場所ができます。
外部フィルターには、 GH と KH を安定して維持してくれる濾過材を十分に入れてあげてください。
麦飯石濾過材「極上」は、そういう意味において最適な濾過材です。
水草水槽の底砂として麦飯石を使用する場合は、
水草飼育専用の底砂と、1:1程度の割合で混ぜてあげてください。
麦飯石の底砂は濾過能力を急激に高めてくれますが、形状的に根が張りにくいという弱点があります。
で、、、エビを飼育する際において、最も重要なのは、最初の<水あわせ>です。
これに失敗すると、ほとんどの場合、すぐに死んでしまいます。
一般の観賞魚の水あわせの、数倍の時間をかけ、慎重に行う必要があります。
できれば、、、ですが、以下の手順を踏んでください。
▼水あわせの手順
- 水槽設置後、1ヶ月は水槽内に生体を入れない。
設置後は生体を入れずに適温を保って、濾過をまわし続け、酸素を十分に送り込んでください。
バクテリア剤や、その他の商品なども絶対に使用しないでください。
水槽内の水を安定させてしまうことが、最も重要で、リスクを最低限にまで下げてくれます。
- 水槽設置後1週間程度のときに、
水槽内に5ミリ角ほどの正方形に切った刺身を3〜5個ほど投げ込んでください。
同時に、麦飯石溶液を規定量添加してください。
- 上記2の後から数日おきに、アンモニア・亜硝酸・硝酸塩を計測します。
まず最初にアンモニア数値が上昇するはずです。
アンモニア数値が上昇しだした頃、刺身の表面は、自然発生したバクテリアで融けだしているはずです。
その後、アンモニア数値が下がりだし、亜硝酸数値が上がりだします。
さらに待つと、亜硝酸数値が下がりだし、硝酸塩数値が上がりだします。
この頃には刺身は完全に溶けてしまっているか、バクテリアのコロニーに変化しています。
この間、生体を入れていない状態を保ち、水換えも不要です。
- 硝酸塩数値が上がりだしたら、水草水槽の場合は、水草を植え込みます。
そして水草が硝酸塩を吸収するために必要な、二酸化炭素の添加をスタートします。
さらに2週間ほど、生体を入れずに各数値の計測を続けてください。
水草の肥料などは絶対に入れないでください。
肥料に含まれる燐酸が水質を悪化させます。肥料など無くても、水草は絶対に成長します。
エサの食べ残しや糞がバクテリアに分解されれば、それはすなわち有機肥料です。
- 水草水槽にしないのであれば、亜硝酸数値が自然に低減するのを待って、
硝酸塩数値が低減するまで、数日に1回の3分の1の水換えをスタートさせてください。
基本的にほとんどのエビは、硝酸塩にも影響されてしまいがちですので、
水草を入れるほうが安定します。
- 硝酸塩数値が落ち着いてきたら、ようやくエビを入れることが可能(安全)になります。
- 水あわせは、慎重にも慎重を期してください。
エビの水あわせは、通常の観賞魚の何倍もの慎重さが必要です。
まずエビを購入するときに、店内の飼育水をたっぷりともらってきてください。
最低でも、バケツに1杯程度はもらってきたほうが安心です。
家に帰ったら、バケツの中に入れ、
5分ごとにバケツ内のコップ1〜2杯の水を捨て、
同量の水槽内の水を加えます。
これを我慢強く、1時間以上は繰り返してください。
|
エビの飼育初期の失敗のほとんどは、水あわせの失敗です。
他の観賞魚と同じ感覚で水あわせをすると、ほとんどの確率で、数日以内に死にます。
意外に知られていませんが、エビの適応PHはかなり広いのです。
水槽内のPHが7.7程度でも、7.2程度でも、実は長期にわたって安定さえしていれば適応できます。
問題なのは、PH数値そのものの絶対値ではなく、PH数値の変化なのです。
エビの飼育の難しさは、<変化>にあると思ってください。
7.7で落ち着いている水槽で、突然7.5になると多くのエビは死にます。
7.2で落ち着いている水槽で、突然7.5になると多くのエビは死にます。
でも長期安定さえしていれば、7.2でも、7.5でも、7.7でも、ほとんどのエビは生活できるのです。
となると、、、最も気をつけなければならないのは、水換えの失敗です。
水換え時に、水槽内のPHと、水換え水のPHに大きな開きがあると、エビは死んでしまうのです。
ポイントは以下のとおりです。
▼水換えのポイント
- 自宅の水道水のPHを、常に調べておいてください。
実は水道水といえども季節で変化します。
(地域にもよりますが、特に地下水を使用している場合は気をつけてください)
別に無理に浄水器の水を使わなくてもかまいませんが、
自宅の水道水のPHを、常に調べておいてください。
- 自宅の水道水のPHと、飼育水のPHに大きな差が無いようにしましょう。
ちなみに7.2というターゲット数字は、非常に適切だと思います。
- 水槽内のPHや、その他の数値は、常に計測するようにしてください。
安定しているときの数値を、必ず書きとめ、常にその数字を意識してください。
これらの数値が安定しているのであれば、実は水換えは不要です。
これらの数値の微妙な変化を見逃さないで、水換えをしてください。
- 水換えの量は、水槽内の水の3分の1を絶対に越えないでください。
4分の1以下の、まめな水換えが理想です。
- 水換えするときには、水槽内の温度と必ず同じ温度に調整した水にしてください。
当然ですが、ほとんどのエビは温度変化にも非常に弱いです。
温度調整で高くする必要があるときには、沸かした水を適量加えてください。
- 水温は23度〜25度(理想)を維持するようにしてください。
エビは高温に非常に弱いです。
水温が28度になると、弱いエビは死に出してしまいます。
怖いのは、真夏の室内です。
エビを飼育する部屋は、必ず室温管理に気をつけましょう。
夏場はファンやクーラーなどを設置するほうが賢明です。
- エサの量は、常に少なめにしてください。
また毎回のエサの量、そしてエサをあげる周期は、必ず同じ量を守ってください。
ここに変化があると、安定していたバクテリアが対応できず、
急激にアンモニア数値などが上がりだしてしまいます。
エビの飼育の極意は、いかなる変化も発生させないことです。
|
|